老後の住み替え成功ポイント! 老後の住まいの選び方とNGなこと

最近、シニア層の中で「住み替え」を希望する人が増えています。その多くは、かつて子育てのために郊外に家を購入した人たちです。定年退職を迎え家族構成が変わる中で、ライフスタイルを見直したとき、住まいも変えたいと思う人が増えています。一方で、老後の住み替えに関する情報はまだ少なく、何から手をつけていいか迷っている人もいることでしょう。そこで、この記事では、老後の住み替えについて知っておきたいことや老後の住まいについて解説します。

  1. 老後の住み替えを考えるきっかけ
  2. 老後の住まいで重視するポイント
  3. 住み替え先を選ぶポイント
  4. 住み替える前にやるべきこと
  5. 老後の住み替えでやってはいけないこと
  6. 老後の住み替えに関するよくある質問

この記事を読むと、老後の住み替えで大切なポイントや住まいの選び方など、住み替えのための情報を知ることができます。老後の快適な暮らしのために、ぜひ参考にしてください。

1.老後の住み替えを考えるきっかけ

定年退職を迎えると、生活は「住まい」を中心としたものに切り替わります。近年、より快適に老後の生活を送るために「老後の住み替え」を希望する人が増えてきました。ここでは、住み替えのきっかけから見てみましょう。

1-1.夫婦二人になったので暮らしをコンパクトにしたい

住み替えのきっかけで最も多いのが、「子供が家を出て独立した」「親をみとり夫婦二人だけになった」など、家族が減って広い家が必要なくなったケースです。広い家は掃除も大変で管理にもお金がかかります。近年では減築リフォームという選択肢もありますが、住み替えを選ぶ人のほうが多いのが現状です。

1-2.家が老朽化したので安全で快適な家に住みたい

古い日本家屋の場合、断熱や耐震強度に問題を抱えているケースがあります。昭和56年に新耐震基準ができ、その後、阪神淡路大震災を教訓に、平成12年には新耐震基準が大幅に改正されました。そのため、新耐震基準ができる以前に建てられたまま耐震補強をしていない建物は、現在の基準を満たしていません。そのまま住み続けるのは大変危険であり、「耐震補強工事をするならいっそのこと住み替えたい」という需要に結びついています。

1-3.バリアフリーを考えた家に住みたい

昔ながらの日本家屋は段差が多く、高齢になると室内で転倒するリスクが高くなります。「2階への上り下りが大変」「トイレが寝室から遠くて不便」など、若い頃には感じなかった問題点を感じることもあるでしょう。そのため、バリアフリーな住まいの需要が高くなります。

1-4.もっと生活の利便性が高いところに住みたい

高齢者の暮らしでは、病院やスーパー・駅など生活に欠かせない施設が徒歩圏内にあると便利です。車の免許を返上した後も快適に暮らせるように、交通や買い物に不安のない場所での暮らしは多くの人が望む条件でしょう。

2.老後の住まいで重視するポイント

老後は資金や体力に余力がなくなります。住み替えに関しても、すべての望みをかなえることはできません。したがって、自分が重視するポイントをリスト化し、優先順位をつけて取り組むことが大切です。ここでは、老後の住まいで重視される傾向が高い項目について紹介します。

2-1.価格を抑える

老後は収入が年金頼みになるので、不要な支出は避けたいものです。住み替え先の住まいを選ぶときも、半数以上の人が価格を重視して選んだという調査もあります。住宅ローンを組む場合は、頭金をなるべく多くするなど、ローン費用を減らす工夫が必要でしょう。

2-2.日当たりと環境

リタイアすると自宅で過ごす時間が増えるので、住まいの日当たりのよさは重要ポイントです。ほかにも、工場や学校の近くなど、日中騒がしい環境ではないかを確かめておきましょう。また、駅から近いこともポイントです。坂が多いと上り下りがつらいため、へいたんなエリアが好ましいでしょう。

2-3.間取りと設備

夫婦二人の生活になる場合、こまごまと仕切って部屋数が多い間取りより一部屋がゆったりと広いプランが人気です。床はバリアフリーとし、将来介護ベッドや車いすを使うことも想定して、廊下やトイレなども広くとっておくといいでしょう。

3.住み替え先を選ぶポイント

住み替え先を選ぶ場合、住まいの形態や介護の必要性など、さまざまなことを考慮する必要があります。ここでは住み替え先を選ぶポイントを紹介しましょう。

3-1.一戸建てかマンションか

住み替え前は一戸建てに住んでいた人もマンションへ移る事例が多く見られます。マンションはセキュリティーも高く、ワンフロアで掃除がしやすいのがメリットです。防犯上も安心なため、離れて暮らす子供たちも安心するでしょう。
一方、一戸建てに住む場合は平屋が人気となっています。庭付きならガーデニングを楽しむこともでき、近隣住民との交流も楽しめるでしょう。

3-2.介護が必要になることを想定しているか

将来的に介護が必要になったときのことを考えつつ、自立した生活ができる時期を快適に過ごすための住居があります。それは、「施設」ではなく「住宅」スタイルのシニア向けの分譲マンションや「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」です。こうした住まいはバリアフリー設計で、自由に趣味などを楽しみながら、見守りサービスが受けられるなど、安心して暮らすことができます。希望により食事の提供を受けられるタイプもあって便利です。利用するサービスによって料金がかかるので、そのぶんの予算を確保しておきましょう

3-3.住む場所はどこにするか

老後の住み替えを考えた場合、今の住まいの近くに住み替えるのが一番いいでしょう。住み慣れた土地で、変わらずにご近所づきあいができる点がメリットです。
一方で、「今までほとんど地域との交流がなかった」「転勤族だった」という人は、実家の近くや子供の住まいの近くに住むという選択肢もあります。同居より近居でお互いに助け合うことができるため、最近人気のスタイルです。
少数派ですが、全く縁のない土地に住み替える人もいます。憧れの土地や田舎など、夢をかなえるのはすてきですが、新しい土地に住むためには事前の情報収集を怠らないように注意が必要です。

3-4.もとの家は売却するか貸し出すか

住み替えをするときに、もともと住んでいた家を売却して新しい家の資金源にするケースが主流です。しかし、家を手放すことに抵抗がある人もいるでしょう。そんな場合には、家を売却するのではなく貸し出すという選択肢もあります。たとえば、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借り上げ制度」は、50歳以上のシニアが所有する建物を借り上げ、第三者に転貸するシステムです。これにより自宅を手放すことなく、安定した賃料収入を得ることができます。

4.住み替える前にやるべきこと

住み替えを決意したら、物件探しと同時に進めておきたいことがあります。ここでは住み替えの引越し前にするべきことを解説しましょう。

4-1.住み替えの断捨離は生前整理を視野に入れて行う

高齢者は、それまで生きてきた歳月が長いだけに、持ち物が多いという特徴があります。住み替えの場合、引越し先のほうが狭くなることが多いので、不用品を処分しなければなりません。住み替えすると決まったら、断捨離をするいい機会であると考え、日々の暮らしの中で不用品を片付けていきましょう。家具など大きなものを処分するには、自治体の粗大ゴミ回収のルールに従ってください。
大切なのは、生前整理をするつもりで大胆に不用品を処分していくことです。将来子供や周囲に迷惑をかけないように、気力や体力がなくなる前に、自分で片付けをしましょう。

4-2.ハウスクリーニングはケースバイケースで

家を売却する場合は、引き渡し前にハウスクリーニングをしておきましょう。すべて荷物を運び出した状態で、掃除をします。通常の引越しのときと同じように、天井・壁・床・窓などを一通り掃除しましょう。家が広くて大変な場合は、プロのハウスクリーニング業者に依頼するのがおすすめです。中古住宅として販売する場合は、壁紙や畳などを新しいものに替えておくと喜ばれます。建物を取り壊す予定の場合は、補修の必要はないでしょう。

5.老後の住み替えでやってはいけないこと

老後の住み替えでは、経済性より安全性や利便性を優先させなければなりません。高齢者の住み替えは、働き盛りの若者たちとは違います。体力がある若者なら、駅から遠い物件や田舎の物件などに住んで、家賃を節約することもできるでしょう。しかし、高齢者は体力も気力も衰え、病気の治療や介護の必要も出てきます。いくら健康であっても、これ以上若返ることはないので、以下のような物件には手を出さないようにしましょう。

  • 駅から遠い
  • 生活に不便な場所
  • 郊外の住まい
  • 自然環境の厳しい田舎

都会暮らしの高齢者の中には、リタイア後は田舎暮らしをしたいと憧れる人もいることでしょう。しかし、雪かきやまき割りなど「不便を楽しむ」暮らしは、健康と体力があってこそできるものです。田舎で暮らすことは家族の同意を得にくく、何より希望した本人もいつまでも健康でいられるかわかりません。観光と生活は違うということを肝に銘じ、憧れだけで行動することがないように気をつけましょう。

6.老後の住み替えに関するよくある質問

老後の住み替えや住まいに関するよくある質問をまとめました。   

Q.老後はマンションに住み替えたいと思っています。賃貸と購入とどちらがいいでしょうか?
A.資金や状況に合わせて選んでください。購入すればリフォームなどを自由にできるでしょう。一方賃貸なら、再度住み替えが必要になった場合に転居が容易です。ただし、高齢者は賃貸契約を結ぶのが困難な場合があります。条件などをよく確認しておきましょう。

Q.住み替えをしても家を売却しない場合、断捨離しなくてもいいですか?
A.住み替え先に持っていく荷物を整理するためにも、一度すべての持ち物を点検することをおすすめします。体力や気力が残っているうちに実行するほうがいいでしょう。荷物があまりにも多い場合は、プロに依頼する方法もあります。

Q.都会のマンションを売って田舎で農作業をするのが夢です。注意点はありますか?
A.日本の田舎は車がないと生活できません。また、雪深い土地では除雪する体力も必要です。60代で体力があるうちはいいですが、病気をしたり高齢になり免許証を返納したりした後のことまで考えて計画を立てましょう。

Q.中古マンションの耐震性は大丈夫ですか?
A.平成12年以降に建てられたマンションなら改定後の新耐震基準が適応されているため問題ありません。それ以前の建物の場合は、耐震補強工事がされているか確認が必要です。

Q.相続税対策としてマンション購入をすすめられました。なぜお得なのでしょう?
A.相続税の資産評価では、相続人が親の所有していた家に住んでいる場合、240m2以下の小規模住宅なら評価額が大幅に低くなります。また、多額の現金・預金はそのままにしておくよりも、マンションを購入するほうが評価額として低くなるのです。そのため、相続税を抑えることができます。

まとめ

平均寿命が延びている今、定年退職後の人生もたっぷりと時間があります。少しでも長く老後の人生を楽しむためには、なるべく早めに住み替えを検討するといいでしょう。このとき、資金計画や健康状態、周囲との調和など、課題を洗い出し、一つ一つクリアしていくことが大切です。住まいを整えることは、人生を豊かにすることにつながります。無理のないよう取り組んでみてください。