旋光計の原理や使用用途とは?基礎知識を身につけて上手に使おう!

旋光計は糖化学において非常に重要な装置になります。
糖化学ではシロップの濃度を高めるため、光学では振動する光の測定に使うものです。さまざまな場面で使う旋光計は、どんな原理になっているのでしょうか。
これから、旋光計の原理や用途、使い方、注意点など詳しく説明します。
旋光計について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

  1. 旋光計の原理
  2. 旋光計の使用用途
  3. 旋光計の使い方と注意点
  4. まとめ

1.旋光計の原理

旋光計は「旋光」を測定する機器です。
旋光は直線偏光が物質の中を通過したときに回転する現象になります。
では、旋光を測定する旋光計は一体どんな原理になっているのでしょうか。

1‐1.旋光度を測る機器

簡単に説明すると、旋光計は「旋光度」を測定する機器です。
旋光度を測るとき、旋光計のほかにも検光子や計測対象の物質をいれる試料セルも使います。
基本的に、光は「波」でできているものです。
波でできている光を測定するのは非常に大変な作業になります。
旋光計は、あらゆる方向に振動する光をとおして傾いた度を測る方法です。
しかし、傾いた度合いや旋光が起こったのかどうかもはっきりしないのが問題点にもなっています。
最近では、質の高い旋光計が登場しているのでぜひチェックしてみてください。
さまざまな方向へすすむ光をとらえる機器だと思っておきましょう。

1‐2.旋光度の仕組み

旋光度の仕組みは偏光子(フィルター)が大きなポイントになります。
偏光子(フィルター)は光を当てると特定の場所に振動している光だけがとおる仕組みです。
特定の場所以外に当たっている光はすべて遮断するでしょう。
ちなみに、特定の場所に振動している光のことを「平面偏光」と呼びます。
平面偏光も旋光計における構造の1つです。
平面偏光が光学活性体が入っている試料セルにたどりつくと、回転し始めます。
まるで風車のように平面偏光が回転するのです。
結果、回転した平面偏光は試料セルを通過した後「検光子」にぶつかります。
検光子にぶつかった平面偏光はあらゆる方向に分散してしまうでしょう。
しかし、検光子を通過する光の強度によって旋光度が測定できます。

1‐3.光学活性物質とは

旋光計の仕組みとなる「光学活性物質」は、L体・D体といった鏡像関係の異性体を持っています。
鏡像関係とは、ペアとして完全な世界を構築する関係のことです。
無理にほかの物質と合わせることなく、自然に通じ合うものがある物質といえるでしょう。
たとえば、「サリドマイド」や「グリセルアルデヒド」などがあがっています。
光学活性物質は鏡像関係のほかにもさまざまな特徴を持っているのです。
直線偏光の偏光面が回転できる性質、いわゆる「旋光性」があります。
旋光性は光学活性物質の大きなポイントになるでしょう。
また、旋光性独特の波長依存性を「旋光分散」といいます。
旋光分散は通称「ORD」とも呼ぶでしょう。
光学活性物質によって回転した角度「旋光角」と光の分散方向、「旋光分散」によって旋光が測定できると思ってください。

2.旋光計の使用用途

2‐1.食品・化粧品・医製薬品分野

旋光計の使用用途は非常に幅広いです。
思っている以上にさまざまな分野で旋光計を使用しています。
代表的な使用用途は「糖シロップの商業取り引き」です。
旋光計は観測した旋光度から濃度を求めることができます。
よって、糖シロップの商業取り引きには必要不可欠な装置なのです。
ただし、濃度を求めるためには色と経路長が一定かつ、比旋光度を把握しておかなければなりません。
また、化粧品や医製薬品分野でもよく使用する装置です。
化学において、光学活性の特徴を持っている化合物を不斉合成することがあります。
不斉合成したとき、得た生成物の光学純度を決定しなければなりません。
決定するための方法として旋光計を使います。
ほかにも、ビタミン剤・注射液、化粧水、香料、乳製品、ドリンク類、菓子類など製造にも役立つ装置です。

2‐2.天然油脂や大学・研究所

主に使用する分野は化粧品・食品・製糖・医製薬品工業分野です。
ほかにも、さまざまな分野で使用しています。
たとえば、天然油脂関係です。
天然油脂はさまざまな香料の原料、化粧品、ショウノウ類などに旋光計を使用しています。
そして、大学の研究室や会社の研究所でも活用している機器です。
高分子、たんぱく室、有機合成などあらゆる研究に役立っています。
もともと、すべての分子は磁場の中で光学活性を持っているものです。
物質の中を伝わる光の向きは、磁場の方向と一緒になります。
そして、直線変更の偏光面が回転する仕組みです。
以上の動きを「ファラデー効果」といいます。
光と電磁場が関係している証拠になるため、研究にも大きく影響しているのです。
以上のように、旋光計はあらゆる分野で使用している装置になります。

3.旋光計の使い方と注意点

3‐1.基本的な使い方

旋光計の使い方はとても簡単です。
基本的な使い方はサンプルの作成から始まります。
専用のフラスコに重さを測定したサンプルをいれて分光測定用溶媒に溶解してください。
溶解すると濃度が算出します。
測定用の溶媒をいれてサンプルホルダーにセルをセットしましょう。
ただし、溶媒をいれるときは気泡が入らないように注意しなければなりません。
サンプルホルダーにセットした後は、ブランク測定のボタンをタッチしてください。
確認ウィンドウに出た測定をタッチすれば、測定が始まります。
セルの中に入っている溶媒を捨てて乾燥した後、サンプルの溶液をセルに移しましょう。
再びサンプルをいれたセルをセットしてサンプル測定をタッチします。
後は、データ処理をするだけです。
最近では、さまざまなメーカーから多種多様の旋光計が登場しています。
旋光計の種類によって使い方も異なるでしょう。
使う前に必ず説明書を読んで使い方を確認してくださいね。

3‐2.旋光度を測定する際の注意点

旋光度を測定する旋光計は定期的なお手入れが必要になります。
旋光計を使った後は必ずもとどおりにしてください。
使用したセルやメスフラスコを溶媒でキレイに洗いましょう。
キレイに洗った後は完全に乾燥してください。
乾燥した後はもとの場所への保管が大切です。
また、旋光度を測るには「測定波長」「濃度」「温度」などの測定条件が大切になります。
測定条件がきちんとそろっているからこそ、物質が比較できるのです。
日本薬局方やヨーロッパ・アメリカ薬局方では、医薬品ごとに条件が決まっています。決まっている条件をきちんと把握しなければ失敗してしまうでしょう。
旋光計を使う前に、日本で決まっている測定条件をしっかりチェックしてくださいね。

4.まとめ

旋光計の原理や使用用途、使い方、注意点について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
医製薬品・化粧品・食品・研究分野など幅広い分野で旋光計を使用しています。
思っている以上、あらゆる分野で活躍している装置なのです。
また、旋光度を測定する旋光計は、濃度や光学純度を測るための重要な装置でもあります。
最近では、簡単に操作できる種類も登場しているので、初心者でも扱いやすいでしょう。
メーカーによって種類、使い方が異なります。
使用する前にさまざまな旋光計を比較して、自分が使いたい分野に合った種類を選びましょう。
使い方や注意点も説明書などを読んで、事前に確認することが大切です。
知識を身につけておけば、上手に使うことができるでしょう。