水分計の原理や種類、使用用途について~基礎知識を身につけよう!~

製品や素材に入っている水分を測定するのが「水分計」です。
水分の量は商品の質に関係している大切な要素になります。
水分量を正しく把握するために水分計が必要不可欠です。
そこで、水分計の原理や種類、使用用途、注意点について詳しく説明します。
水分計について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
知識を身につけて正しく使用していきましょう。

  1. 水分計の原理
  2. 水分計の種類
  3. 水分計の使用用途と注意点
  4. まとめ

1.水分計の原理

水分計には「秤量(ひょうりょう)法」「湿度」「密度」「化学的方法」などさまざまな測定方法があります。
測定対象や用途・目的によって使う水分計が異なるでしょう。
では、水分計の原理はどうなっているのか詳しく説明していきます。

1-1.種類によって異なる原理

水分計の種類によって、原理はさまざまです。
たとえば、ハロゲンによって水分量を測定する場合、「熱」が大きなポイントになります。
対象物を加熱することで軽くなった部分が出てくるでしょう。
軽くなった部分が水分として計算する仕組みです。
ただし、水分以外の物質が蒸発した場合、正確な水分量がわかりません。
ほかの原理よりも測定精度が低いため、水分をたくさん含んでいるサンプルに向いているでしょう。
ハロゲンとは熱源の違いがある「赤外線」は赤外線照射によって水分計が蒸発します。蒸発による質量変化から水分量を計算する原理です。
赤外線を使用した水分計でもフィルター併用水分吸着法などさまざまな原理があります。

1-2.測定試薬と水が反応する原理

一般的に使用している水分計は「化学反応」を活用しています。
水が反応する測定試薬を使うことで、商品の水分量を測る仕組みです。
測定試薬にはほとんど水素化カルシウムを使用します。
化学反応による水分計は、測定誤差が少ない、データが信頼できる、コストがかからないといった点がメリットです。
ほかの測定方法よりも簡単、安全に測定できるやり方になるでしょう。
より高品質な製品を生み出すために必要不可欠な水分計です。
特に、吸湿性樹脂の成形や添加剤には乾燥した材料が必要になります。
徹底的な水分管理をするためにも信頼できるデータが必要です。データが信頼できる化学反応は、最も注目度の高い原理と言えるでしょう。

1-3.水分計の構造

水分計の構造は用途・目的によってさまざまです。
適した水分計を使用するには用途・目的を明確にしておかなければなりません。
たとえば、研究室で水分計を使用する場合、定期的な水分率を測定しなければならないでしょう。
毎日使うものだからこそ、長期的に使用できる部品で構成しています。
メーカーのなかには機器の寿命保証、素早く清掃できるステンレススチール製、耐薬品性の高さに注目しているところもあるのです。
水分計はメーカーによっても構造が異なるでしょう。
よって、購入を考えている人は何社かメーカーの水分計を比較してください。
自分たちが使用する目的・用途をふまえつつ、適切な水分計を選ぶことが大切です。

2.水分計の種類

2-1.「電気」を利用するもの

水分計の種類は主に「電気を利用するもの」と「光を利用するもの」に分別できます。「電気」を利用する水分計には、電気抵抗式や電気容量式、マイクロ波式などさまざまです。
基本的に水分量を測定するものに対して電流を流します。
そして、電気抵抗値や電気容量を測定する仕組みです。
たとえば、電気抵抗式の場合は測定物に電気を流して抵抗値を水分値に置き換えています。
比重に影響しないメリットを持っていますが、針を測定物に刺さなければなりません。針穴が測定物にできてしまうので今ではほとんど使用していない方法です。
逆に、世界でも幅広く使用しているのが電気容量式になります。
電気容量式は測定物に交流の電流を流して電気容量の変化を水分値に置き換える方法です。
ハンディー式など小型化は可能ですが、比重や厚みの影響を受けるデメリットがあります。
種類によってメリット・デメリットがあるのでしっかり把握しておきましょう。

2-2.「光」を利用するもの

「光」を利用した水分計は光の吸収度合いを調べる方法になります。
「近赤外式」や「中性子式」「乾燥重量法」「化学測定法」も光を使用している水分計の1種です。
たとえば、近赤外式は赤色の外がわにある光を利用しています。
水分への吸収率が非常に高いため、反射率の測定によって水分量を測定する仕組みです。
水分が多ければ多いほど反射する光が弱くなります。
そして、乾燥重量法は対流式乾燥機で乾燥した対象物の重量変化から水分量を測定する仕組みです。
精度は高いですが、測定時間や手間がかかるなどデメリットもあります。
最も使用率が高い化学測定法のメリットは、水のみの正確な測定ができる点です。
しかし、試薬が高い、大量の測定には不向きなどのデメリットがあります。

3.水分計の使用用途と注意点

3-1.プラスチック製品やさまざまな材料の微量水分を測定

水分計はプラスチック製品やほか材料の微量水分を測定する機器です。
商品の水分量は質だけでなく、成形不良の予防、材料乾燥度の一定化とさまざまなメリットがあります。
樹脂乾燥装置の性能確認もでき、無駄なコストが省けるでしょう。
水分計を定期的・日常的に利用している研究所や工場では必要不可欠な機器です。
よって、主に使用しているのは研究所、製品を製造している工場になります。
水分計の小型化も可能になってきているため、気象観測や木材を使用する建築業など使用用途は非常に幅広いです。
測定対象は木材や紙、プラスチック、ゴム、金属、石油・オイル、ガス、食品・穀物とたくさんあります。
測定するものに対して適切な水分計を選ばなければなりませんね。

3-2.水分計の注意点

水分計にはさまざまな種類があります。
原理や構造も異なるので使用する水分計について知ることが大切です。
たとえば、試料を使う水分計の場合、加熱によって化学変化を起こす資料を使用してはいけません。
熱に反応を起こす試料を間違って使用すれば、有毒ガスや爆発が起こる恐れがあります。
また、水分計の近くに燃えやすいものも置いてはいけません。
水分計を使用する場所は安全かどうか、きちんと確認してくださいね。
水分計の使い方によっては、正しく作動しないケースもあります。
正しく作動しないからと分解する人はいますが、絶対に分解はしないでください。
分解すると故障、感電、火災を起こす可能性があります。
故障、不備が発生したときは購入したメーカーにすぐ連絡しましょう。
専門家に任せたほうが安心できます。

4.まとめ

水分計の原理や種類、使用用途、注意点について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。水分計には主に「電気」を利用するものと「光」を利用するものがあります。
電気を利用するものには「電気抵抗式」「電気容量式」「マイクロ波式」、光を利用するものには「乾燥重量法」「化学測定法」などが代表的です。
それぞれメリット・デメリット、特長が異なります。
適切な水分計を使用するためにも、使用用途や目的を明確にしなければなりません。
水分計の使い方を間違うと大事故につながる恐れがあります。
正しく使うためにも水分計の種類や知識を身につけてください。
水分計の購入を検討している人はさまざまなメーカーを比較して適切なタイプを選びましょう。
長く使い続けるためにも定期的なメンテナンス、正しい使い方が大切になりますよ。