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【悩み解決】分光光度計で何ができる? 仕組みや原理など知っておきたい3つのポイント

分光光度計とはあまり効きなれない測定器ですが、物質の濃度や特徴を簡単に知ることのできる便利な測定器です。

そこで今回は、分光光度計の原理や仕組みなどをご紹介します。分光光度計を使えば、水溶液にどのような物質がどれだけ溶け込んでいるかも、測定することができるでしょう。ですから、実験室や研究室だけでなくいろいろな企業でも使われているのです。この記事を読めば、分光光度計の便利さがよく分かるでしょう。興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

  1. 分光光度計って何? 仕組みや原理は?
  2. 分光光度計を使ってできる検査は?
  3. 分光光度計の選び方3つのポイント

1.分光光度計って何? 仕組みや原理は?

分光光度計というのは、光の吸収具合によって物質の濃度や特徴を確かめる測定器です。光というのは、可視光線と不可視光線の二種類からなりたっています。不可視光線というのは目に見えない光のこと。自然光における不可視光線は「赤外線」と「紫外線」になります。どちらも聞いたことがあるでしょう。可視光線は7つの色に分かれています。虹の色は、可視光線の種類だったのですね。

私たちに見える世界がフルカラーなのは、この可視光線のうち特定の光を反射するから。たとえば、植物が緑なのは緑色の可視光線を反射しているからなのです。また、光には「透過」という性質があります。無色透明の水はガラスのコップに入れると向こうがわがすけて見えるでしょう。これが、透過性100%の状態です。

では、水に色がつけばどうでしょうか?色が濃くなるほど透過性は低くなっていきます。さて、分光光度計はこのような光の種類と透過の原理を利用した計測器です。分光光度計は、光源の中から特定の光だけを取りだす「分光器」と、取りだされた光が測定物質をどのくらい透過したかを測定する「光度計」からできています。その仕組みは、まず光源をともし、分光器にかけて特定の光を抽出するのです。

次に、その光を検査する水溶液に当てます。すると、一定量の光が水溶液によってさえぎられるでしょう。これを「吸光率」といいます。この吸光率を光度計で数値化するのです。吸光度が分かれば、その液体の濃度も分かります。これは、水溶液の中の光を吸収する成分と吸光度が比例しているためです。ですから、濃度が分かっている同じ物質の溶けた水溶液を標準試料としてもちいることで、吸光率を比べれば濃度がすぐに分かります。これが、分光光度計の仕組みです。

分光光度計は、光で物質の濃度などを測る機械なんですね。
はい。非破壊検査などにも使われています。

2.分光光度計を使ってできる検査は?

では、分光光度計があればどのような検査ができるのでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。

2-1.比色分析

比色分析とは、前述した物質の濃度を測定する検査です。濃度の分からない水溶液Aがあったとします。そこで、濃度の分っている水溶液Bを標準試薬として利用し、水溶液Aの吸光度と水溶液Bの吸光度を比較するのです。そうすれば、水溶液Aの濃度が分かりますね。水の量が多いほど、それに溶けている物質の濃度は分かりにくくなるのです。たとえば、プールの水質検査などに利用されることもあるでしょう。

2-2.物質の特徴を測定する

物質には、固有の「スペクトル」があります。スペクトルとは、強度分布のこと。物質にはいろいろな情報があります。それを順番に並べることでその物質の特徴が分かるのです。分光光度計が活躍するのは、主に紫外線にかかわる特徴を測定するときになります。
現在の化粧品はUVカットが主流です。製品によって、どのくらいUVをカットできるか違いがあります。

ところでこのUVとは紫外線のこと。紫外線は目に見えない光ですが、分光光度計で紫外線を取りだして製品に当てれば、本当に紫外線をカットしているのかどうかが分かるでしょう。このように、物質がどの波長の光を通し足り通さなかったりするのかが簡単に分かるのです。

2-3.分子の構造が分かる

これも、物質の特徴を測定するのと同じ方法で測定できます。分子も物質と同じように固有のスペクトルがあるのです。このスペクトルは分子の構造が変化すれば同じように変化するでしょう。そのため、スペクトルを分析することによって分子の構造を把握できるのです。

分光光度計を用いればいろいろなことが分かるんですね。
はい。ですから、一般企業から大学の研究室まで幅広い場所で使われています。

3.分光光度計の選び方3つのポイント

では最後に、職場などで分光光度計を使用する場合の選び方についてご紹介します。ぜひ参考にしてください。

3-1.分光光度計だけでは検査ができない?

分光光度計で水溶液の検査をするには「セル」が必要です。セルとは試薬を入れる容器のこと。ガラス製で、研磨して透明度を高くしています。このセルは分光光度計とは別に販売されているのです。

今は、どんな分光光度計でも使えるセルが一般的ですが中には専門のセルが必要は検査もあるでしょう。ですから、何をどんなふうに検査したいのか、によってセルを買いそろえる必要があります。ちなみに、セルの値段の差は原材料のガラスの差です。

3-2.価格と精度はイコールではない

分光光度計の精度は「則光制度」「迷光率」「バンド幅」によって決まります。これらの値が小さければ小さいほど、精度が高い分光光度計になるのです。計測器の中には価格が高いものほど精度が高いものも少なくありません。しかし、分光光度計ではリーズナブルな価格のものでも、精度が高いものも多いのです。

実際、価格のリーズナブルさと精度の高さを売りにしているメーカーもあります。ですから、精度の高さと使い勝手のよさを基準にして分光光度計を選ぶとよいでしょう。ちなみに、精度が高いということは測定の値が細かすぎて判別がつきにくかったりすることもあります。用途を決めてから精度を選んでもよいでしょう。

3-3.中古市場にも目を向けよう

分光光度計だけではありませんが、測定機器には中古市場が形成されています。測定器はどんな職場でも大切にあつかわれますので、中古でも状態がよいものが多いのです。たとえば、職場で何台も分光光度計が必要になった場合は、いくらリーズナブルな価格でも出費がかさむでしょう。ですから、中古市場に目を向けてみてください。

また、不要になった分光光度計は専門の業者が買い取ってくれることもあります。ですから、「まだ使えるけど使い道もないから」といって処分する前に、引き取り先を探してみましょう。条件によっては新しい分光光度計を買う資金の足しになる可能性もあります。

中古市場にも目を向けてみるといいんですね。
はい。中古市場ならばまだ十分に使える高性能な品物も手ごろな価格で購入できることがあります。

おわりに

今回は分光光度計の仕組みや原理についてご紹介しました。分光光度計は、使い方さえ分かればとても便利な測定器です。ですから、使っている企業も多いことでしょう。特に、化粧品メーカーや食品メーカーなどの研究室には置かれいることが多いと思います。

また、分光光度計の検査結果をもとに顧客に商品説明をしたり性能を説明したりもできるでしょう。ですから、分光光度計を扱ったことがないという方でも、読み方くらいは覚えておいて損はありません。

分光光度計を大幅に増やしたいという方や不要になったけれどまだ使える分光光度計の処分に困っているという方は、ぜひ中古市場へ目を向けてください。日本製の測定器は正確ですから海外にも需要がある場合もあります。また、中古の測定器を専門に扱う業者も多いです。ホームページを作っているところもありますから、ぜひインターネットで検索してみましょう。欲しい測定器がお得に購入できるかもしれません。