高齢者の孤独死に注意! 孤独死の対策、ポイントをチェックしよう!

少子高齢化が進んでいる現在の日本において、「高齢者の孤独死」が社会問題となっています。地域など外部とのコミュニケーションも少なくなっている昨今、どうすれば孤独死を減らすことができるのか「取り組み」に力を入れ始める自治体が増えてきました。孤独死を減らすためには、「家族」「地域」の協力が必要だといわれています。そこで、本記事では、高齢者の孤独死対策について解説しましょう。

  1. 孤独死の基礎知識
  2. 孤独死を防ぐ対策は?
  3. 孤独死を防ぐ対策〜自分でできること
  4. 身内が孤独死した場合の対処法は?
  5. 孤独死に関してよくある質問

この記事を読むことで、高齢者の孤独死を防ぐポイントと対処法が分かります。不安に思っている方や悩んでいる方は、ぜひチェックしてください。

1.孤独死の基礎知識

まずは、孤独死がどんなことで、何が問題なのか理解を深めていきましょう。

1-1.孤独死の概要をチェック!

孤独死は共通した定義がありません。広辞苑に初めて登場したのは平成8年ごろで、「看取(みと)る人もなく、1人きりで死ぬこと」と記されています。警察の死因統計では「変死」として扱われることが多いですが、行政では「孤独死」と表現されているのです。世間に広まっている定義としては、「誰にも看取られない状態で死亡し、そのまま一定期間発見されなかった状態」といえます。

1-2.なぜ孤独死が起こるのか?

現在の日本が抱えている少子高齢化という問題に、孤独死の増加が関係しています。昔は祖父母から孫までの3世帯同居が普通でしたが、現在は親と子の2世帯で生活せず離れて暮らし、家族を持たない単身世帯が増加している状態です。このまま少子高齢化が進むと、どんどん高齢者の単身世帯が増え、孤独死も増えることになります。
さらに、今は周囲とのコミュニケーションが希薄です。インターネットの普及も関係し、直接他人と顔を合わせて話をする機会が失われています。その結果、近隣住民とのコミュニケーションが少なくなり、孤独死の増加につながるというわけです。

1-3.最近の現状、問題点は?

高齢者が増え続ける限り、社会問題や背景が重なり合うことで高齢者の孤独死が増加することになります。また、最近は高齢者だけでなく、比較的若い世代の孤独死も問題に挙がっているのです。社会とのかかわりを断ち、家族や親せきとの付き合いも悪い1人暮らしの若者が、健康面に支障をきたし孤独死につながります。現在の若者は正社員ではなく派遣社員やフリーターで働いている方が多く、低い生活水準によって孤独死も増加しているのです。つまり、孤独死は誰にでも起き得ることで、社会背景が強く関係しています。

2.孤独死を防ぐ対策は?

増加傾向にある孤独死を防ごうと、自治体や企業などさまざまなところで取り組みが行われています。ここでは、代表的な取り組み・対策を紹介していきましょう。

2-1.厚生労働省による対策は?

増え続ける孤独死に対して、厚生労働省も対策に力を入れ始めています。その一環として、各都道府県に孤独死の防止対策について通知を行いました。生活困窮者に関する情報の一元化を要請したり、福祉担当部局など関係団体との連携を強化したりと、地域のコミュニティーづくりを推進しています。ほかにも、福祉スタッフを配置し、地域に住む方々による、見守り活動も実施されているのです。具体的な対策例に関しては、厚生労働省のページを確認してください。

2-2.福祉・企業などの対策

厚生労働省の呼びかけにより、高齢者団体・障害者団体など福祉関係団体との連携を強化し、安否確認のホットラインやネットワークを作る取り組みも実施されています。また、特に最近増えてきているのは、電気・ガス・水道などのライフライン事業者と自治体の連携です。たとえば、「東京ガス」では、くらし見守りサービスを行っています。前日ガス未使用を家族にメールで知らせるなどです。生活に必要なライフライン事業者と連携することで、異変が察知でき、孤独死対策につながります。

2-3.地域の活動、できることは?

自治体の取り組みで増えているのは、地域のコミュニケーションを増やすコミュニティづくりです。たとえば、高齢者同士が気軽に集まる機会を作ったり、交流イベントを行ったりするなど、さまざまな取り組みがあります。近隣住民とのコミュニケーションを増やすだけでも、孤独死を減らし、地域の活性化にもつながるでしょう。

2-4.そのほかの活動、対策方法

滋賀県野州市では、不動産会社と連携し、家賃滞納や新聞・郵便が溜(た)まるなど、生活弱者からのSOSをいち早く発見する取り組みが実施されています。より早く助けが必要な生活弱者を見つけ、サポートする体制が整えられているのです。また、大阪府豊中市では、安否確認の連絡窓口を新設し、住民の異変に気づいたときはすぐさま市へ情報を届ける体制を整えています。このように、各自治体によって孤独死対策のマニュアルを作り、行政内部の対応体制整備を行っているのです。

3.孤独死を防ぐ対策~自分でできること

さまざまな取り組みが実施されている中、自分でも孤独死を防ぐ対策ができます。一体どのような対策をすれば良いのでしょうか。

3-1.家族や近所の人と連絡を取る

孤独死の大きな原因は、家族や周囲の住民とのコミュニケーション不足にあります。よって、自分から積極的に家族と連絡を取ったり、近隣住民とのコミュニケーションを心がけることが、1番の孤独死対策といえるでしょう。自分の存在を周囲に知らせることが大切です。頻繁に連絡を取る必要はなくても、定期的に家族へ連絡してください。近隣住民と顔を合わせたときには笑顔で挨拶をして、地域のイベントなどにも参加すると良いでしょう。最初はとても勇気がいりますが、1度思いきって行動をすれば、友人ができ楽しくなりますよ。

3-2.老人ホームに入居する

年を重ねるたびに体の自由が利かなくなり、不自由な思いをすることになるでしょう。ご飯を作ったり、部屋を掃除したりするだけでもいっぱいいっぱいです。体力に自信がなくなってきたときは、老人ホームなど施設への入居も視野に入れると良いでしょう。中には、看護師や医師が常駐しているマンションタイプのオシャレな老人施設もあります。家族が住んでいる近くの老人ホームを利用するなど、自分に合った施設を見つけ利用してください。また、入居せずに昼間だけ施設を訪れるデイサービスという方法もあります。

3-3.企業の取り組みサービスを利用する

孤独死を防ぐために、企業の取り組みサービスを利用するのも方法の1つです。前述したライフライン事業者のサービスはもちろんのこと、携帯電話会社やセコムなどセキュリティー会社も孤独死対策のサービスを実施しています。たとえば、セキュリティー会社のセコムでは、家の中で一定期間動きがない場合に通報するサービスがあるのです。利用料金はかかりますが、孤独死を防ぐための対策だと思えば費用対効果はあります。

3-4.スマホやアプリを利用する

前述したとおり、孤独死対策で大切なことは「自分の存在を誰かに知ってもらうこと」です。家族への連絡や近隣住民とのコミュニケーションだけでなく、スマホやアプリを利用するのも対策の1つとなります。たとえば、スマホを使えば、家族や友人とのコミュニケーションが簡単に取れるようになるでしょう。また、最近は「見守り系アプリ」も増えています。
若者よりも利用者は少ないのが現状ですが、年々増えている状態です。平成26年度に内閣府が55歳以上の男女3,000人を対象に「高齢者の日常生活に関する意識調査」を実施しました。この調査で、スマホやインターネットを「積極的に利用している」と「たまに利用している」方が4人に1人という結果が出たのです。高齢者向けの簡単操作が可能なスマホも登場しているので、ぜひ利用を考えてみてはいかがでしょうか。

4.身内が孤独死した場合の対処法は?

もし、身内が孤独死した場合は、何から始めれば良いのでしょうか。ここでは、孤独死した場合の適切な対処法について解説します。

4-1.最初にすべきことは?

身内が孤独死した場合、家族は警察から連絡を受けることになります。遺体の引受人となるため、まずは遺体の安置場所・搬送を手配しなければなりません。一般的に葬儀業者へ依頼することが多く、家族は葬儀の日取りを決めてから親族や関係者へ連絡します。放置するほど部屋が遺体の臭いでこびりつき、清掃に時間とお金がかかるため、できるだけ早めに手続きと手配を済ませましょう。

4-2.部屋の清掃

必要な手続きを済ませ遺体を引きとった後は、孤独死した部屋の清掃をしなければなりません。遺体が数日放置されていた場合は、腐敗臭・シミ・汚れ・害虫などで部屋の状態が悪化しています。個人で掃除してもなかなか落ちない汚れやニオイがついている可能性があるため、専門の清掃業者へ依頼したほうが良いでしょう。衛生面の問題から、遺体があった部屋の清掃は業者へ任せたほうが安全です。

4-3.遺体の引き取り、部屋の清掃は素早く済ませる

孤独死の場合は、大家または知人が見つけるケースが多く、連絡を受けた家族はすぐに遺体を引きとらなければなりません。特に、賃貸物件の場合は、遺体の引き取り・部屋の清掃が遅れると、家賃を支払う必要があります。また、部屋の環境が悪化するので、清掃にかかる費用が高くなるのも問題です。トラブル防止のためには、遺体の引き取りと部屋の清掃を素早く済ませることがポイントとなります。

5.孤独死に関してよくある質問

孤独死に関してよくある質問を6つピックアップしてみました。

Q.どのくらい孤独死が増えているのか?
A.内閣府が行った「平成27年版高齢社会白書」によると、単身世帯で死亡から相当時間経過後に発見された件数は、200以上にのぼりました。少子高齢化が進むにつれさらに増加していくと考えられているのです。若者の孤独死は生活水準の低下が問題ですが、高齢者の孤独死は生活習慣病による心筋梗塞・脳卒中などが直接的な原因となっています。

Q.孤独死対策に役立つアプリは?
A.NTTドコモでは、「つながりほっとサポート」というアプリを提供し、携帯電話機の利用状況を家族にメールで知らせるサービスを行っています。ほかにもみまもりステーション」、や「ラクホン」もあるのです。家族からスマホの所持を提案し、同じアプリを入れておくのも孤独死対策の方法となります。

Q.孤独死に遭遇したときの注意点は?
A.孤独死に遭遇したときは遺体には触れず、すぐに警察へ連絡してください。死因が特定されるまで「変死」扱いとなるため、勝手に遺体へ触れると、事件性の有無に関する調査の妨げになります。

Q.特殊清掃とは?
A.死臭の消臭、体液・血液の除去など、特殊な機械や洗剤で行う清掃です。費用は数万円〜、時間は1〜3日ほどかかります。室内の状態が悪いほど時間と費用がかかるため、依頼前に見積書をしっかりと確認してくださいね。中には、家屋のリフォームが必要なときに、すぐリフォーム業者を手配してくれるアフターフォローが整っているところもあります。

Q.身内がいない場合は、どう対処すべきか?
A.身内がいない場合は、連帯保証人が清掃費用を支払うことになります。遺体も連帯保証人が受け取ることになりますが、拒否する場合は法定相続人が次いで引き取ることになるでしょう。連帯保証人や法定相続人がいない場合は、行政に相談するほかありません。

Q.清掃業者の選び方は?
A.清掃業者の中には、きちんと清掃をせずに高額な費用を請求する悪質業者が存在しています。悪質業者に引っかからないためには、慎重に業者を選ばなければなりません。業者選びの際は、スタッフの対応・無料相談の可否・清掃サービスの内容・見積書などを細かくチェックしてください。ほかにも、遺品整理士や清掃の実績があるかどうかチェックが必要です。

まとめ

いかがでしたか? 孤独死の主な対策は、地域コミュニティーへの参加や、家族または近隣の人たちと定期的に連絡を取る方法などがあります。増え続ける孤独死を減らすために、さまざまな活動に取り組んでいる自治体もあるので、ぜひ自分の地域の活動に目を向けてみてください。また、老人ホームなどへの入居も選択肢の1つです。いくつかの方法の中から、自分に合った方法を選んで対策を実践していきましょう。