
オートクレーブの必要性とは? 基本的な使い方や購入・処分法をご紹介
高圧蒸気減菌器のことをオートクレーブといいます。オートクレーブは研究機関や医療関連施設で使われることが多い機器であり、重宝されているものです。「どこで購入すればいいのか」「どんな種類を選べばいいのか」と悩んでいる方は多いでしょう。購入や処分を考える前に、きちんとオートクレーブについて把握しておかなければなりません。そこで、本記事では、オートクレーブの基本情報を紹介しながら、購入や処分方法について詳しく説明しましょう。
この記事を読むことで、オートクレーブを正しく使うために必要な情報や購入・処分方法を知ることができます。オートクレーブについて知りたい方や購入・処分を考えている方はぜひ参考にしてください。
1.オートクレーブの基礎知識
オートクレーブの基本情報を知ることは、適切な種類を購入する大切な要素でもあります。古いものを上手に処分するためにも、オートクレーブとは何なのか把握しておきましょう。
1-1.オートクレーブとは
内部を高圧力にすることができる耐圧性の装置です。いわゆる、加熱圧力釜といえます。家庭で使用する圧力鍋や高圧力を用いた調理もオートクレーブの一種です。主に、実験や工場などで使用されることが多く、サイズも使用用途に合わせて大きいものから小さいものまであります。基本的に、オートクレーブの中に入れるものは液体ですが、医療機器やガラス器具などを入れて減菌することも可能です。
1-2.オートクレーブの構造と原理
ほとんどのオートクレーブは、縦長の円筒型をしています。四角形の箱の中に高圧力をかける縁筒が入っており、取りはずしが可能なふたに圧力計・温度計・安全弁などが設置されている構造です。構造は、減菌と化学反応の場合と2つにわけられます。減菌の場合、オートクレーブ内の圧力を高温の蒸気で上げ、微生物・細菌のタンパク質が変形し死滅させる仕組みです。そして、化学反応の場合は基本的に、高圧・高温・飽和蒸気を利用して反応させます。
1-3.オートクレーブの目的と用途
オートクレーブは化学分野と医療分野で使われることが多い機器です。化学分野では化学反応をおこなうため、医療分野では病原体などを死滅させる目的を持っています。ほかにも、試薬を沸点以上にさせたいときや化学反応をすすめたいときなど、実験目的で使われることもあるのです。また、コンクリートの養生や炭素繊維強化プラスチックなど複合材の成形などにも使われており、用途は多岐にわたります。
1-4.オートクレーブの必要性
人の手では限界のある化学反応や菌の死滅ができます。撹拌(かくはん)装置が設けられているものがほとんどで、化学工場では重宝されているのです。特に、微生物の実験においては邪魔な微生物の混入を防がなければなりません。減菌と無菌操作をするためにも、オートクレーブが必要なのです。
2.オートクレーブを使う前に知るべきこと
オートクレーブを使う前に、主な使い方と手順・メーカー・平均価格など必要な情報を知ることが大切です。必要な知識を得ておけば、上手な使い方ができるでしょう。
2-1.主な使い方と手順
オートクレーブの基本的な使い方は簡単です。底に排水バルブを閉めた状態にしてそこに水を入れます。そして、その上にある専用のかごに試料を入れ、ふたを閉じて固定してください。次に上の排気口をあけて加熱すれば湯気が出てきます。湯気が出るのは圧力がかかっている証拠です。内部に水蒸気が充満する頃合いをうかがいながら、排気口を閉じましょう。圧力と温度に注意しながら加熱を続け、時間を計って止めます。内部が十分に冷えたら試料を取り出してください。減菌用オートクレーブにはタイマー機能もついているため、温度と時間を設定するだけで自動的にストップします。
2-2.メーカーについて
オートクレーブを製造しているメーカーといえば、東邦製作所や川崎重工業株式会社・中澤製作所・株式会社カミショウ・アドバンテック東洋株式会社などが挙げられます。減菌器専門メーカーの東邦製作所は蒸気減菌器オートクレーブを中心に取り扱っているメーカーです。装備が充実しており、確実な減菌作業ができます。川崎重工業は大型オートクレーブをつくるなど、メーカーによって特徴が異なるので比較してみるといいでしょう。
2-3.平均価格について
オートクレーブは小型・卓上型でもおよそ20万円~です。大型や研究用になると、40万~80万円が妥当な価格といえます。また、機能が充実しているものほど価格も高くなるでしょう。
2-4.耐用年数について
オートクレーブの耐用年数は、およそ15年~20年です。ただし、使用環境や頻度・状況によって異なるため、必ずしも15年持つとはいえません。使用頻度が多く、点検をきちんとおこなっていなければ数年で壊れる可能性もあります。長く使い続けるためには1年に1回の点検が必要です。
2-5.注意点
オートクレーブを使用する際、中にある水が十分かどうか必ず確認してください。水が十分入っていなければ正しく機能しません。また、減菌終了後はオートクレーブの圧力と温度が十分下がっているかどうかも確認が必要です。確実に下がっていないままふたをあけてしまうと、ヤケドをする恐れがあります。もちろん、加熱中も内部だけでなく外部も熱を持つので触れないでください。
3.オートクレーブの購入について
目的に合ったオートクレーブを購入するためにも、商品選びのポイントや購入場所を把握しておきましょう。中古品やレンタルについても説明したいと思います。
3-1.商品選びのポイント
オートクレーブをどこで使うのか、何のために使うのかを明確にしておきましょう。たとえば、スペースがないのに大型タイプを購入すると使いにくくなるものです。その場合は小型や卓上型をおすすめします。また、減菌用オートクレーブなど専用の機器も発売されているのです。使用目的をハッキリさせておけば、それに合った種類を選ぶことができます。メーカーや種類によって機能も異なるため、さまざまな商品を比較してみてください。価格とのバランスも大切です。
3-2.購入場所
オートクローブなどの機器を販売しているメーカーや店舗などに行って購入する方法があります。ホームページから問い合わせてカタログを取り寄せるのもいいでしょう。また、機器類の買い取りをおこなっているお店でも購入可能です。
3-3.中古品について
安い費用で手に入れたい方は中古品を選択する方法があります。中古品の中には新品と変わらない状態のものもあるのです。特に、中古品の取扱量が多いお店では、状態のいい機器がそろっています。中古品=状態が悪い・すぐに壊れるなどのイメージを持っている方は多いでしょう。しかし、店選びに失敗しなければいい状態の中古品を安く手に入れることができるのです。
3-4.レンタルについて
一定期間の利用であればレンタルも検討してみるといいでしょう。販売だけでなくレンタルを実施しているメーカーもあります。必要な時期にだけ使うことができ、節約にもつながるでしょう。ただし、使用中に故障したり、誤って壊したりしたときは弁償しなければならないケースもあります。また、レンタル期間によっては購入したほうがお得になるケースもあるでしょう。使用期間やレンタル料金をきちんと考慮しなければなりませんね。
4.オートクレーブの処分・リサイクルについて
要らなくなったオートクレーブの処分に頭を抱えている方は多いでしょう。スムーズに処分するためにも、オートクレーブの処分やリサイクルについてチェックしてください。
4-1.リサイクル業者について
オートクレーブなどの機械には再利用できる資源や部品がたくさん詰まっています。壊れているものであっても、分解して部品を違う製品に使うことができるのです。処分するのは非常にもったいないことなので、リサイクル業者に依頼することをおすすめします。リサイクル業者は使用済みの機器類を引き取り、部品を再利用している業者です。また、使える機器は買い取り、中古品として再販売しています。
4-2.中古市場の需要
オートクレーブなどの専用機器は価格が高めです。できるだけ、安く手に入れたい方が多く、中古市場の需要も高まってきています。また、日本国内で不要になった機器でも海外で高く売れるものもあるのです。海外市場を見込んで買い取りをする中古業者も存在しており、中古市場の需要は今後も増えるでしょう。
4-3.買い取りについて
まだ、稼働できる状態であれば処分するのは非常にもったいないことです。廃棄にお金がかかるため、処分費用が浮きます。また、買い取り額の分だけお金を得ることができ一石二鳥です。精密機器を専門に取り扱っているところもあるので探してみてください。
4-4.高額査定のポイント
せっかく売るのなら、できるだけ高い値段で取り引きしたいですよね。そこで、オートクレーブの高額査定ポイントをいくつか以下に取り上げてみました。査定を依頼する前に、ぜひチェックしてください。
- 取扱説明書や替えの部品など付属品を一緒にする
- オートクレーブの内側と外側をキレイにする
- 使用期間や製造番号などの情報を把握する
- ほかの機器と一緒に査定に出す
以上が高額買取のポイントです。特に、内側と外側をキレイにすることが大切なポイントといえます。査定に出す前に必ず確認して、清潔な状態にしてください。
4-5.業者選びのポイント
高価買い取りができるか、いいものが購入できるかは業者選びにかかっています。販売・買い取り業者の中には不正を働く悪質な業者も存在しているため注意が必要です。悪い業者に引っかからないためにも、業者選びのポイントを押さえておきましょう。
- オートクレーブの種類や数が豊富
- 中古販売や買取の実績がある
- ホームページに住所と電話番号(固定番号)を記載している
- 古物商許可を取得している
- 丁寧な対応かつスピーディー
4-6.注意点
早く購入・処分したいからと慎重に業者を選ばず失敗した話をよく聞きます。「思っていたものと違っていた」「買い取り後に不法投棄されていた」などトラブルが起きているのです。トラブルを回避するためには、複数の業者を比較することが大切なポイントといえます。比較することで業者の良い点と悪い点が見えてくるものです。慎重に選べる時間を持ってくださいね。
5.オートクレーブにかんしてよくある質問
オートクレーブにかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。
5-1.オートクレーブの点検とは?
オートクレーブの点検は知識を得た者でなければできないことです。そのため、点検をおこなっているメーカーなどに依頼してください。オートクレーブの点検は厚生労働省の法令・規則で義務づけられています。主に、缶体やふたの腐食・傷などのチェックが点検内容です。
5-2.お手入れの方法とは?
本体外装清掃と缶体内清掃が基本です。本体外装清掃では中性洗剤と柔らかい布を使って汚れを落としてください。缶体内清掃では、まずスノコを取りはずします。それから、中性洗剤と布で汚れを落としていきましょう。詳しい清掃内容は取扱説明書に記載されているので、ぜひチェックしてみてください。説明書が見当たらない場合は、メーカーのホームページで確認しましょう。
5-3.買い取り額はいくらになるのか?
ほとんどのお店では、販売価格の5%~10%が買い取り額になるでしょう。新品状態に近いものほど高価買い取りが期待できます。ただし、状態が悪いものや製造月日から何十年も経過しているものは買い取り額がつかないこともあるのです。
5-4.オートクレーブの本体はどんな材料でつくられているのか?
高圧と高温に耐える材料でつくられています。最も多く使用されているのは、オーステナイト系ステンレス鋼です。ただし、化学反応によっては腐敗の原因になるでしょう。そのため、種類によっては耐性のあるクロムモリブデン鋼が使われています。
5-5.よくある事故とは? また、防ぐ方法とは?
運転中にふたを固定するボルトが破断して脱落・爆発した事故が発生しています。ネジやボルトがゆるみ爆発を起こす事故が増えているため、定期検査が必要です。1年に1回以上の点検、または使用前に異常がないか自主点検を心がけましょう。
まとめ
いかがでしたか? オートクレーブは化学反応や減菌目的に使用される機器です。特に、化学分野・医療分野で重宝されています。大きいものから小さいもの、使用目的によって機能が異なるものです。新しい機器の購入を考えている方は用途やサイズを明確にしておきましょう。処分を考えている方は、できるだけリサイクルを心がけてください。オートクレーブにはほかの製品をつくるために必要な部品が含まれています。そのまま処分するのは非常にもったいないことです。リサイクル業者や専門業者に買い取ってもらい、リユース・リサイクルを実行していきましょう。あらかじめ知識を習得しておけば、スムーズに購入・処分ができます。