
三次元測定器の原理とは? 今日から学ぶ基礎知識!
製造ラインの横で、三次元測定器を使用できたら。あるいは、研究室でより高い研究をするために、三次元測定器があったら……なんて考えている方、意外と多いはずです。
しかし、『三次元測定器の原理が実際どのようなものなのか』や『使う上での不便はないのか』などといった、不安を抱える方も多いことでしょう。
そこで、今回は三次元測定器の基礎知識を中心にご紹介していきます。購入を検討する上で重要なメーカー情報についてもご紹介していますので、ぜひ最後までおつきあいくださいね!
1.三次元測定器について
1-1.三次元測定器とは?
もともと、投影機や顕微鏡による測定は目視で行っていた作業です。そのため、操作には熟練度を上げる必要があったり、測定に時間がかかったりといった不便な点がありました。
一方、三次元測定器は画像処理技術によって、物体の形状を立体的にとらえて測定を行うことが可能です。JIS B 7440における定義としては、互いに直行する案内と、案内の移動量を求めるスケール、およびプローブをもつこと。かつ、それぞれの移動量からプローブの三次元座標値を求めることが可能な機械とされています。
1-2.三次元測定器の原理
具体例として、ここでは接触式の三次元測定器で説明します。
三次元測定器に付けられているプローブと呼ばれる球体(鉄・ルビー・セラミックなど)で、部品を点測定、もしくは線測定。測定によって得られた三次元座標値を組み合わせることにより、二次元または三次元の幾何学要素を作成します。
この幾何学要素の組み合わせにより、寸法や誤差などを測定するのです。
1-3.三次元測定器の分類
三次元測定器は測定器のタイプや測定方法などによって、いくつかの分類に分けることが可能です。ここではいくつかの種類を紹介しましょう。
設置方法による分類
- 据置型
- ポータブルタイプ
外観による分類
- 門型
- 多関節アーム型
測定方法による分類
- 接触型
- 非接触型
- レーザートラッカー
- レイアウトマシン
三次元測定器が市場に出回り始めた頃は、ほとんどが据置型(門型で接触型)でした。
据置型(門型で接触型)は室温管理が重要で、しかも測定者が操作に習熟する必要です。控えめに言っても汎用的な測定器とは言えません。その課題を克服するためさまざまな工夫がなされることになりますが、それでもいくつかの課題は残されていました。すなわち、『導入費用の高さ』や『設置スペースが大きい』、『三次元測定器のサイズに制限があるため、測定対象の大きさも制限される』などです。
そんな中で生まれたのが、多関節アーム式の三次元測定器。多関節アーム式の三次元測定器は、測定者の意図に合わせてアームを自由自在に動かすことが可能なため、より自由な測定を可能にしました。また、レーザーを用いた非接触型が多くなったことで、測定対象の制限も大幅に大きくなっています。
近年では、測定器だけの枠を飛び越え、CADと比較するために利用したり、3Dプリンターで三次元オブジェクトを造成したりすることにも利用されているようです。
2.代表的なメーカー
2-1.海外メーカー
- マイクロ・ビュー(アメリカ)
- TESA(スイス)
- ヘキサゴンメトロジー(スウェーデン)
- ブラウン&シャープ(アメリカ)
- ライカ(ドイツ)
- ライツ(ドイツ)
- ローマ(フランス)
- ローマシムコア(フランス)
- DEA(イタリア)
- マール(ドイツ)
- マイクローナ(ドイツ)
- コグニテンス(イスラエル)
- カールツァイス(ドイツ)
- ファロー(アメリカ)
三次元測定器は今でも海外製が主流。ご紹介した中で一番人気があるのは『マイクロ・ビュー』です。世界トップシェアをほこり、世界的な企業にも数多くの納入実績があります。その数、3万5000台以上。数字だけ見ると非常に少ないように見えることでしょう。しかし、需要があまり高くなく、高価な機械であることを考えれば驚異的な実績です。
マイクロ・ビューが人気な理由は、大量生産することで可能にした低価格にあります。年間生産数は1000台で、これは世界最大級の生産量です。
2-2.国内メーカー
- ミツトヨ
- キーエンス
- 東京精密(カールツァイスと提携)
- ニコンインストルメンツカンパニー
- 中村製作所
- 小坂研究所
国内メーカーも、やはり人気はあります。なんとっても、日本製という安心感。そして、購入サイトの日本語が大きな理由でしょう。三次元測定器は、一般的な需要がない特殊機械ですから、海外メーカーなどはフランス語や英語のサイトしかない場合もあります。その点、日本の企業であれば心配ありませんよね。
国内メーカーで人気が高いのは、キーエンスとミツトヨです。どちらのメーカーもそうですが、基本的に日本のメーカーの三次元測定器は、精度が高いとされています。また、日本人の使い勝手に合わせた造りをしているので、不便に感じることも少ないでしょう。
3.三次元測定器を使用する際の注意点
この項目では一般的な使い方の注意点についてお話しします。
3-1.振動や傾きのない安定した場所に設置する
三次元測定器は精度が非常に重要です。そのため、振動の多い場所に置いていると、十分な性能を発揮できないことがあります。なるべく振動のない場所を選んで設置しましょう。
また、傾きのある場所に設置することでも、正常な機能を発揮できません。しっかりと水平を確認してから設置してください。
3-2.室温を適温環境にする
三次元測定器には安定した測定結果を出すための適温環境(20℃)がありますので注意しましょう。
3-3.測定物を室温と同化させる
膨張係数の異なる素材を使用した対象を測定する場合、室温と同化させる必要があります。最低でも5時間程度は20℃の室温でならしておきましょう。
3-4.必要以上に長いプローブは使わない
プローブの形状が長いと、運動誤差が生じて精度に欠けてしまうことがあります。説明書などをよく読み、適切な長さのプローブを使用しましょう。
3-5.精度が悪いと感じたら使い方を確認しよう
時には、仕様書どおりの性能が出ないこともあるでしょう。しかし、三次元測定器は繊細ゆえに、使い方を間違えると十分な性能を出せないことがあります。
機械の不具合を疑う前に、説明書などを改めて読み直し、使い方が正しいか確認しましょう。それでも、おかしいようなら、ここで初めてメーカーにクレームを出すようにしてくださいね。
まとめ
今回は三次元測定器にまつわる情報をご紹介しました。
- 三次元測定器について
- 代表的なメーカー
- 三次元測定器を使用する際の注意点
三次元測定器を高価な点や場所をとることがネックで導入を見送っている方も多いでしょう。しかし、三次元測定器は取り入れれば非常に役に立つ機械です。
今回の記事を参考にして、ぜひとも導入を検討してみてください。